アルピコホールディングス(9035)~観光回復と地域インフラで光る長野の中核企業~

バリュー株

はじめに

以前、タカチホ(8225)で紹介したように、長野県の観光人気が高まりを見せています。

タカチホ(8225)~観光人気が高まる長野県主体の土産メーカー~ | やまけいの株日記
この観光需要の追い風を受けながら、長野県を中心に交通・観光・生活インフラを多角的に展開するアルピコホールディングス(9035)について、投資妙味があるかを検討しました。


事業内容

アルピコHDは、以下の3事業を柱としています。

  • 交通事業:長野県内を中心に、路線バス・観光バス・タクシー・鉄道を展開
  • 観光事業:ホテルや旅館、スキー場、キャンプ場などを運営
  • 流通事業:食品スーパー「デリシア」など、地域密着型の店舗を展開

いずれも長野県民にとって身近なサービスを提供しており、筆者自身も松本市在住時には「デリシア」での買い物や、アルピコバスの利用が日常的でした。

*2025年3月期 第3四半期決算補足説明資料より


業績状況

コロナ禍以降の観光需要回復を背景に、同社は増収基調を継続しています。
特に、ホテルや観光施設の稼働率が向上し、収益の改善に寄与しています。流通事業は原材料費の上昇という逆風を受けながらも、堅調な推移を見せています。

*2025年3月期 第3四半期決算補足説明資料より


今後の見通し(2025年度以降)

インバウンドのさらなる回復や地方創生政策との連携により、観光・交通事業の成長が期待されます。

*令和5年外国人延宿泊者数調査結果 長野県観光スポーツ部山岳高原観光課より


また、利益の柱である流通事業で得たキャッシュフローを、高成長が見込まれる観光事業へと投資し、営業利益の拡大を目指している点も注目されます。

*2025年3月期 第3四半期決算補足説明資料より

一方で、中長期的なリスク要因として、降雪量の減少によるスキー場稼働日数の縮小が懸念されます。

*長野県観光の現状・課題 長野県観光部

また事業が長野県に集中していることから、自然災害のリスクは無視できないと考えられます。


ファンダメンタル(2025年5月9日時点/Yahoo Financeより)

  • PER:8.85倍
  • PBR:1.54倍
  • 配当利回り:2.01%
  • 自己資本比率:約18.3%
  • BPS:161.82円

過去の民事再生手続の影響もあり、自己資本比率はやや低水準です。
簡易的な安全率の試算では、
(161.82 + 37.93×10)÷ 249 = 約2.17倍となり、割安な水準にあるといえます。
個人的には、安全率が2.5倍を超える216円以下の水準では、積極的に検討したいと考えています。


株主優待について

2025年5月時点では、株主優待制度は実施されていません。


株価推移と今後の注目点

株価は2024年末に上昇した後、現在は横ばい圏で推移しています。
今後は、観光需要の回復や利益水準の安定化が下支えとなり、底堅い動きが続く可能性があります。

*YahooFinanceより


ここまでお読みいただきありがとうございました。

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