はじめに:技術力を評価することの重要性
製造業、ハイテク業界、素材、エネルギー、医薬品といった分野において、企業の競争優位性や将来性を見極めるうえで、技術力の評価は極めて重要です。
競合他社には模倣できない、高度な技術に裏打ちされた製品は、将来的な市場シェアの拡大や売上の成長に直結します。また、そうした技術は、他社の参入を阻む「経済的な堀(エコノミック・モート」としても機能します。
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技術力を評価する方法
もっとも、社外の立場からその企業に技術力があるかどうかを見極めることは、社員や同業界の関係者でない限り、難しいといえます。
一般的には、以下のような指標が技術力の評価において重視されます。
- 市場シェア
- 決算資料などでの新製品の開発動向
- 特許や知的財産の保有状況
- 研究開発費および売上に対するR&D投資比率
- 技術ロードマップや中長期の開発計画の提示
ただし、これらの定量的な情報だけで、本当に現在・将来にかけて競合に対し技術的な優位性を持てるか判断することは難しい側面もあると感じています。
当時、私はかつて自動車部品メーカーに勤務していました。自社のホームページでは技術力をアピールしていましたが、実際には競合他社と比べて同等あるいは劣後している面もあり、企業側からの情報は必ずしも鵜呑みにすべきではないというスタンスを持っています。
技術力の評価に転職サイトを活用
企業の技術力を見極めるうえで、転職サイトの口コミは有益な情報源の一つだと考えています。これらの口コミは、現職や元社員の生の声を反映しており、複数の投稿から得られる全体的な傾向には一定の信頼性があると感じています。
私は今年転職をしたのですが、現職(転職先)の実態は、転職サイトの口コミで見ていた内容と概ね一致していたと感じました。
また、前職に関しても「技術力はそこまで高くないが、親会社からの安定的な受注が強みである」といった内容が口コミに記載されており、こちらに非常に妥当な評価だと感じました。
やはり、数年〜十数年にわたってその企業で働いてきた方々の忖度無い意見を取り入れることは、客観的な視点を得るうえでも非常に有益だと実感しています。
もちろん、口コミの母数が少ない場合は個人の主観に左右される可能性もありますが、感覚的には20〜30件程度の投稿があれば、ある程度の信頼性をもって参考にできるのではないかと考えています。
ここでは例としてopen workを取り上げます。
出典:open work
たとえば、「OpenWork」では企業分析の「強み・弱み・展望」欄において、技術力やグローバルでのトップシェアといった点を強みとして挙げている場合、技術力についてある程度信頼しても良いと考えられます。
加えて、「組織体制」や「入社理由と入社後のギャップ」といった欄にも目を通すことで、技術力への言及があるかどうか、またコンプライアンスや企業の将来性に問題がないかといった点も確認できます。
ここまでお読みいただきありがとうございました。
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