はじめに
7月25日付の日経新聞によると、韓国では半導体製造装置の国産化を進めているとの報道がありました。
参考:日経新聞 韓国LGやハンミ、半導体装置国産化急ぐ 生成AI追い風
現在、韓国製の半導体装置は世界シェアで約2%にとどまっている一方で、装置分野では米国・日本が高いシェアを占めています。
出典:セミコンテック
広帯域メモリー(HBM)で後工程が重要な理由
近年では、生成AI向けメモリーとして注目される広帯域メモリー(HBM)の需要が急速に高まっており、市場の拡大が続いています。HBMの世界シェアにおいては、SKハイニックスとサムスン電子の2社で約9割を占めている状況です。
出典:SAMSUMG 公式HPより
半導体製造工程は、大きく「前工程」と「後工程」に分類されますが、HBMはメモリーを垂直方向に積層する構造を持ち、従来よりも後工程における製造技術の重要性が増しています。
出典:加賀東芝エレクトロニクス株式会社
先の通り、前工程では日米欧が強みを持っており、今から追いつくのは容易ではありません。そこで、今後よりニーズが高まる後工程分野での事業を韓国は拡大を狙っているとされています。
実際、LGエレクトロニクス・ハンミ半導体・ハンファセミテックなども後工程のボンダー装置などで最先端の技術開発を進めています。
日本の半導体装置メーカーについて
日本企業についても、後工程において有望な銘柄は少なくありませんが、これまで後工程は比較的単純かつ安価な技術領域と見なされてきた経緯もあります。そのため、競争優位性のある独自技術を持たない企業は、今後、韓国や中国といった新興勢力との競合にさらされる可能性もあります。
チップを高集積化するために、上下方向にチップを積層する「三次元化」の潮流や、そこに対応する高度な技術力を有する企業には、特に注目が集まると考えられます。
参考資料:マネクリ「【日本株】『後工程』への関心高まる半導体製造関連銘柄」
一例では、先日紹介したTOWA(6315)は、「コンプレッション法」という独自のモールディング技術に注目が集まっており、注目されています。
TOWA(6315)~HBM・AIブームで再注目、世界シェア首位の封止装置メーカー~ | やまけいの株日記
また、レゾナックホールディングス(4004)やJX金属(5016)など、材料分野においても日本企業が強みを持つことから、今後の需要増が期待できる分野といえるでしょう。
JX金属(5016)〜世界シェア6割のスパッタリングターゲット、半導体需要拡大で成長期待〜 | やまけいの株日記
今後の半導体業界は、業界全体の成長も勿論ですが、一部の技術的な優位をもつ銘柄が集中的に上昇することも考えられます。今後も技術トレンドを追いつつ、各社が持つ技術的な強みについて継続的に学んでいきたいと考えています。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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