東京エネシス(1945)~データセンターによる電力需要増が発電所保守・建設事業に追い風~

バリュー株

はじめに

近年、データセンターやAIの普及により、電力需要は今後さらに拡大すると見込まれています。

出典:資源エネルギー庁「今後の電力需要の見通しについて」(2025年1月27日)

このような背景のもと、火力・原子力発電所を主体とするメンテナンスや建設工事を手がける東京エネシス(1945)に、投資妙味があるか検討しました。


事業内容

東京エネシスの主な事業内容は以下のとおりです。

  • 発電所関連工事:新設工事に加え、老朽化施設の更新や補修工事も多数実績。
  • 変電・送電設備工事:送配電網の新設・保守工事に加え、再生可能エネルギーの普及に伴う系統連系の強化。
  • 再生可能エネルギー分野:太陽光・風力・バイオマス発電設備の建設に加え、蓄電池設備や次世代変電所の導入。

業績状況

2024年度は、売上高が大きく減少しました。その主な要因は、原子力発電所の安全対策工事や火力・バイオマス発電所の建設工事が一巡したこと、さらには福島第一原子力発電所の処理汚染水関連工事が完了したことにあります。

一方で、受注残は大きく増加しました。これは、データセンターの電力需要増加に伴う変電設備の新設・増設工事が進展していることや、化学工場・製油所・公共施設など一般産業分野での需要が伸長していることが背景にあります。

出典:資本コストや株価を意識した経営の実現(2025年5月12日)


今後の見通し

今後は、以下の分野に注力していく見込みです。

  • 原子力分野再稼働に向けた関連工事の増加が期待されます

北海道電力(9509)~泊原発3号機の稼働に伴う、中長期的な成長期待について~ | やまけいの株日記

  • 変電分野データセンターの新設・増設による電力需要増に伴い、変電設備の需要が拡大
  • 水力分野既存プラントの更新工事が継続しており、安定した需要が見込める

また、中長期的な企業価値向上のため、現在PBRは0.5倍、ROEは約4.0%と低水準にあることから、ROEを8.0%まで引き上げることを目標としています。

そのために、収益源の多様化を進めつつ、株主還元策として累進配当の継続や自社株買いを推進する方針です。

出典:資本コストや株価を意識した経営の実現(2025年5月12日)


ファンダメンタル(2025年5月13日 楽天証券より)

現在、PBRは1倍を下回っており、株価には割安感があるといえます。また、配当利回りも高めで、安定的な株主還元を重視する企業姿勢がうかがえます。

一方で、配当性向は50%を超えており、一般的に高水準にあるといえます。今後の業績拡大によって、累進配当を維持しつつ、配当性向の健全化が図れるかが注目されます。

  • PER:13.68倍
  • PBR:0.58倍
  • 配当利回り:4.81%
  • 自己資本比率:63.31%

出典:2025年5月13日 決算説明会資料より作成


株主優待について

2025年時点では、株主優待制度は導入されていません


株価推移と今後の注目点

過去数年間の株価推移を振り返ると、目立った乱高下はないものの、じわじわとした上昇基調が続いています。背景には、配当利回りの高さ、堅実な財務基盤、そして長期的な再生可能エネルギー関連需要への期待感があると考えられます。

出典:Yahoo!ファイナンス


おわりに

ここまでお読みいただき、ありがとうございました。電力インフラという国家的に不可欠な領域に携わる東京エネシスは、安定性と将来性を兼ね備えた銘柄といえるでしょう。特に、データセンター・再エネ・原子力といった次世代エネルギー需要との関係性は、長期投資の観点からも注目に値します。

ここまでお読みいただきありがとうございました。

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