はじめに
日経新聞の記事によると、野村ホールディングス(以下、野村HD)をはじめとする金融機関では、近年、従業員持株会などの職域口座残高が堅調に増加しています。
同社は、古くから持株管理分野で約5割のシェアを有する最大手であり、今後も職域口座を中心に残高の着実な積み上がりが期待されています。

また、日本株高を背景に投資信託などの運用収益の拡大も見込まれることから、野村HDの投資妙味について考察しました。
出典: 大手証券が職場の口座に照準、若者開拓の柱に 野村は5年で残高倍増 日経新聞より
事業内容
野村HDの代表的なグループ会社は以下のとおりです。
- 野村證券株式会社
グループの中核企業です。個人および法人向けの証券営業を中心に、資産運用や投資銀行業務まで幅広く展開 - 野村アセットマネジメント株式会社
投資信託や年金運用を手がける資産運用会社です。国内最大級の運用残高を誇り、安定的な運用管理報酬が収益源 - 野村信託銀行株式会社
信託業務および資産管理業務
近年は株式市場の堅調さを背景に、投資信託などの運用管理報酬が伸長しています。一方で、金利運用の不振や不正アクセス対応に伴う補償費用などを吸収しつつ、税引前利益は概ね横ばい圏で推移しています。

業績状況
収益およびEPSは、ここ数年にわたり概ね堅調な成長基調を維持しています。
出典:IRbankより
市況変動の影響を受けやすい金利・為替トレーディングへの依存度を下げ、収益源の多様化を進めています。足元では海外収益比率が約4割にまで拡大している点も注目されます。

今後の見通し
野村HDは2030年の経営ビジョンとして、
- ROE:8〜10%
- 税引前利益:5,000億円
の達成を掲げています。
海外富裕層向けビジネスの拡大や、国内バンキング部門を安定収益の柱として育成していく方針です。
ファンダメンタル(2025年12月26日 楽天証券より)
- PER:11.38倍
- PBR:1.12倍
- 予想配当利回り:4.34%
- 自己資本比率:6.11%
配当性向は40%へと引き上げられており、今後も業績拡大に応じた増配が期待できます。また、配当利回りが4%を超える水準にある点も、インカムゲインを重視する投資家にとって魅力的といえるでしょう。
出典:IRBank
株主優待について
2025年現在、野村HDに株主優待制度はありません。
株価推移と今後の注目点
株価は関税ショック以降も堅調に推移しており、直近では高値を更新しています。
2025年12月時点ではPBRが1倍を上回る水準で推移しており、市場からの評価改善も見受けられます。
もっとも、金融株は比較的値動きが大きく、市場全体の急落局面では20〜30%程度の調整が生じることもあります。そのような局面を、中長期目線での投資検討の好機として捉えたいところです。
出典:Yahoo! Finance
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