バフェット退任から思うこと〜個人投資家が学ぶべきチャーリー・マンガーの投資術〜

株式

バフェット退任から思うこと〜個人投資家が学ぶべきチャーリー・マンガーの投資術〜

はじめに

2025年5月、バークシャー・ハサウェイのCEOであり、投資界の象徴的存在であるウォーレン・バフェット氏が退任しました。
彼の投資哲学は世界中に影響を与え、多くのファンドや個人投資家が模倣してきましたが、彼ほど長期で成果を出した投資家は表れていません。

マネクリによると1965年以降のバークシャー・ハサウェイ株は年平均リターン19.8%に対し、同期間のS&P500種指数の平均トータルリターンは10.2%とされています。

バフェット流を標榜するアクティブファンドの国内事例

近年、バフェット流に通じる運用スタイルを掲げている著名ファンドとして「農林中金<パートナーズ>長期厳選投資 おおぶね」が挙げられます。

「バフェットの投資哲学に基づき、長期的に安定的なリターンが見込める銘柄に絞り込み、長期保有する」


農林中金<パートナーズ>公式HPより

しかし、こういったアクティブファンドでさえも、近年は日経平均などのインデックスに対して劣後しているのことがが実情です。

チャーリー・マンガーの哲学が抜け落ちている?

この件について、私が特に注目しているのは、バフェットの右腕として知られるチャーリー・マンガー氏の考え方について、バークシャー(バフェット流)の投資術をアクティブファンドでは構造的に再現できない点です。

*MONEY INSIDERより

書籍: マンガーの投資術からの学び

マンガーの投資術/デビッド・クラーク (著)はマンガーの価値観や投資哲学が学べる良書です。

特に印象に残ったフレーズを紹介します。

-現金が鍵-

マンガーは買い出動するための好機を持ちながら、現金残高を高く維持することを推奨している。この戦術は重要な要素であるが、世間にはなかなか理解されない。巨額の現金を抱えたまま何年も投資機会を待つという考え方が多くの投資家には想像できないからではないか。

日々株式調査を続けていると、どうしても「手元資金で何かを買いたい」と思ってしまいます。しかし、マンガーはそこに忍耐の重要性を説きます。

-忍耐-

忍耐とは、手元に十分な現金を用意しておいて、偉大な企業の株価が下落して適切な水準になるまで、集中力を切らさずに持ち続けることを意味する。

投資信託のように、’買って放置’ではなく、’絶好の買い場になるまで何年でも待つ’ことの重要性を述べています。

実際にバフェットは、1960年代後半には株式市場を一時離脱し、5年間新規投資を見送りました。また、1990年代後半にはITバブル期に割安銘柄がなく、新規投資を停止し、2003年にようやく魅力的な銘柄を発見し再出動したこともあります。

アクティブファンドの限界

アクティブファンドには、「現金で保有し続ける」という選択肢が基本的に許されません
必ず何かに投資しなければならないという制約があり、これがバフェット+マンガー流の再現を難しくしている最大の理由だと考えています。

現金保有は個人投資家にこそ可能な戦略

一方で、個人投資家には現金比率を自由に調整できる強みがあります。
市場が過熱している局面や「割安な銘柄が見当たらない」と感じたタイミングでは、無理に買わず、現金を温存するという選択も容易です。

こうした柔軟さがあるからこそ、個人投資家はマンガーの教えをもっとも忠実に実践できる立場にあるのです。

おわりに

投資において、「何かをする」よりも「何もしないこと」の方が難しい場面があります。

日々、メディアやSNSなどで流行りの銘柄が話題になる中で、それらに一切手を出さないことで短期的な成績は他者に劣後する事を受け入れる必要があります。
しかし、この「しない勇気」こそが、長期的に成果を残すための鍵となるのです。

バフェットの退任を機に、私たち個人投資家もチャーリー・マンガーの「現金と忍耐」の教えを今一度見直すべき時期なのかもしれません。

ここまでお読みいただき、ありがとうございました。

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