インバウンド銘柄について~高級品需要は不調も、日本製の需要は未だ堅調に推移?~

株式

はじめに

2025年6月14日の株探で気になる記事がありました。

この記事によると、近年、アパレル小売業の業績が総じて好調に推移しており、以下のような傾向が見受けられたとのことです。

  • オフィス回帰や外出機会の増加
  • 気温の上昇による夏物商品の需要拡大
  • インバウンド需要が業績を後押し

アパレル各社の決算資料などをもとに、アパレル業界に留まらず、インバウンド等へのマクロ的な影響も考察していきます。

出典:株探【特集】驚愕の月次ラッシュで評価急上昇、好実態「アパレル関連」6銘柄選抜


アパレル好調の要因を深掘り

好調の背景について、さらに踏み込んで見ていきます。

1. オフィス回帰・外出増加による需要の回復

ユナイテッドアローズ(7606)の2025年3月期決算では、ビジネスカジュアルにも対応できるアイテムの販売が好調であると報告されています。これは、オフィス回帰や外出機会の増加によって、実用性とスタイルを両立するファッション需要が高まっていることを示しています。

出典:ユナイテッドアローズ 2025年3月期決算説明資料

2. 夏物商品の高機能化と高付加価値戦略

夏物商品の分野では、各社が機能性に優れた高付加価値アイテムに注力している様子が見られます。たとえば、通販大手の千趣会(8165)が展開する「サラリスト」や、グンゼ(3202)の「アセドロン」などがその代表例です。いずれも、夏場でも快適に着用できる機能性インナーやTシャツを打ち出しており、差別化によって顧客の支持を集めています。

出典:楽天市場

3. インバウンド需要の変化と分化

インバウンド需要には二極化の兆しも見られます。百貨店など高級品を扱う業態では、円高傾向の影響により免税売上が3か月連続で前年割れとなるなど、売上の減速が指摘されています。

出典:ブルームバーグ「インバウンド消費急ブレーキ、百貨店免税売上3カ月連続前年割れ」

一方で、インバウンド売上比率が高いとされるTokyo Base (3415) では、既存店売上の月次進捗が好調に推移しています。TokyoBaseは高品質な日本製のアパレルを主力とするアパレル小売り業であり、このことから、単に高級ブランドが売れにくくなっているのではなく、日本国内でしか購入できない、あるいは希少性のある商品への需要は依然として底堅いと見ることができます。

出典:Tokyo Base 個人投資家説明会

出典:バフェットコード


インバウンドを“分解”して見ると

以上の動向を踏まえると、「インバウンド需要」は一枚岩ではなく、消費行動の中身によって大きく分かれていることが分かります。

“世界中で買える高級ブランド”は円高によって魅力が薄れた一方で、「日本ならでは」の商品はなおも魅力的だと考えています。

このように考えると、インバウンド関連銘柄の中でも、全体の需給に引きずられて株価が軟調に推移している“連れ安”銘柄には、再評価余地が残されている可能性があります。

たとえば、以下のような企業が挙げられます:

  • まんだらけ(2652)
  • Japan Eyewear Holdings(5889)
  • 寿スピリッツ(2222)

これらの銘柄は、いずれもインバウンドの恩恵を受けやすい業態を展開しており、現時点で株価がやや軟調に推移していることから、今後の回復シナリオにおいて投資妙味があると考えられます。


今後も、企業業績とマクロトレンドを読み解くことで、投資チャンスを見つけていきたいと考えています。ここまでお読みいただき、ありがとうございました。

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