はじめに
書籍[わが投資術 市場は誰に微笑むか/著:清原達郎氏]は、2024年3月に刊行され、24万部を超える異例のベストセラーとなっています。著者の清原氏は、個人資産800億円超を誇り、かつて長者番付で1位に輝いた“伝説のサラリーマン投資家”として知られています。

同氏の保有銘柄の一つが、1893年創業の老舗繊維専門商社、ヤギ(7460)です。発行済み株式の約7%程度を保有しているとされています。
同社は近年、業績が拡大傾向にあり、連続増配を実施しているにもかかわらず、PBRが約0.4倍と非常に割安な水準にあります。
今回、同社についての投資妙味を検討しました。
事業内容
ヤギは、以下の4つの事業セグメントを展開しています。
- マテリアル事業:環境に配慮した高機能素材を自社で開発し、衣料分野はもとより、自動車・インテリア・産業資材など多様な業界へ安定供給を行っています。
- ライフスタイル事業:清掃用品、寝具、タオルなど、生活用品を幅広く展開しています。
- アパレル事業:TATRAS(タトラス)やATTACHMENT(アタッチメント)など、中高価格帯の高付加価値ブランドを中心に、オリジナルブランドやライセンスビジネスを通じて、国内外でファッション展開を進めています。
- ブランドリテール事業:関連会社WINWIN YJVがNIKEストアの運営を担うなど、国内外において多様なブランドのリテールビジネスを展開しています。
※出典:ヤギ株式会社 公式HP
業績状況
売上の成長に対し、利益の伸びがより顕著に進んでいます。特に、アパレル事業およびブランドリテール事業の拡大が、収益に貢献しています。
※出典:決算資料より作成
今後の見通し
同社は中長期の経営目標として、2023年度(FY2023)に19.5億円であった経常利益を、2026年度(FY2026)には38億円まで拡大させる方針を掲げています。
各事業セグメントにおいて市場や顧客ニーズに対応しながら、さらなる収益性の向上を目指しています。
出典:中長期経営計画より
ファンダメンタル(2025年6月13日時点|楽天証券より)
- PER:7.28倍
- PBR:0.44倍
- 自己資本比率:54.52%
- 配当利回り:4.86%
配当性向35%以上を基本方針として掲げており、ここ数年は増配を継続しています。
※出典:IR Bank
PBRは改善傾向にあるものの、依然として0.4倍程度と低水準であり、株価の見直し余地は依然として大きいと考えられます。
出典:ヤギ株式会社 公式HP
株主優待について
2025年6月時点において、同社は株主優待制度を実施していません。
株価推移と今後の注目点
株価は2023年度以降、上昇基調にありますが、PERが横ばいで推移していることから、EPS(1株当たり利益)の成長が株価上昇の主な要因となっています。
このような上昇トレンドが継続している状況では、市場全体が調整局面を迎えた際に、比較的リスクを抑えた投資機会を得られる可能性があると考えられます。
ただし、清原氏が約7%程度保有していることから、売却時には相当な下落圧力がかかる可能性がある点は留意が必要です。
※出典:Yahoo!ファイナンス
ここまでお読みいただき、誠にありがとうございました。
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