はじめに
5月24日付の日本経済新聞の一面において、REIT(リート)の割安さに関する特集が掲載されました。
現在は金利の上昇局面にあり、国債利回りの上昇により、REITの相対的な魅力が薄れ、歴史的に見ても割安な水準となっています。
現時点では私自身REITを保有しておりませんが、今後の投資候補として一般的な知識を整理しておきたいと思い、以下にまとめました。
REITとは
REIT(リート)とは、「Real Estate Investment Trust(不動産投資信託)」の略称であり、複数の投資家から資金を集めて不動産に投資し、その賃貸収入や売却益を投資家に分配する仕組みの金融商品です。株式と同様に証券取引所に上場されており、誰でも売買することが可能です。
出典:楽天証券より
REITの特徴
- 約10万円程度から投資が可能であり、不動産投資ではハードルが低い点が魅力です。
- 構造上、配当性向が90%以上と高く、年利3〜5%程度の分配金が期待できる商品が多く存在します。
- 複数の不動産に分散投資されているため、不動産投資としてはリスク分散が図られます。
- 株式と同様に証券口座を通じてリアルタイムで売買でき、流動性が高い点も特徴です。
お手軽にできる不動産投資の位置付けと考えられます。
REITの現状
金利が上昇基調にある現在、REITのNAV倍率(純資産価値に対する価格の倍率)は十数年来の低下傾向が続いています。利回りも5%を超える水準で推移しており、魅力的な投資対象と映ります。
このような水準で購入し、分配金を受け取りつつ、利回りが3%程度まで低下(=価格上昇)したタイミングで売却するという戦略も有効と考えられます。
出典:2025年5月24日 日本経済新聞
REITの今後の見通し
今後もしばらくは金利上昇局面が続くことがメインシナリオと考えています。その場合、REIT価格は上値を抑えられる可能性があります。一方で、金利がターミナルレート(最終到達点)に近づく局面では、REIT価格もある程度調整が進んでいると見られ、ダウンサイドリスクは限定的となるでしょう。
ただし、突発的な市場ショックが発生した際にはREIT価格が一段と下落するリスクがあるため、キャッシュポジションを適切に確保しながら、段階的な投資を行うことが望ましいと考えられます。
REITのデメリット
- 国内金利が上昇傾向にあるため、相対的に国債利回りの魅力が増し、REIT指数の上値を抑える要因となる可能性があります。
- REIT市場は株式市場と比較して規模が小さく、個人投資家とその他の投資主体の比率が約8%程度にとどまっています。このため、金融機関や外国人投資家の影響が大きく、相場の混乱時には株式以上に大きく価格が下落するリスクがあります。
出典:三井住友トラスト基礎研究所「J-REIT市場の軌跡と展望に関する調査」
- 合併が行われる際、時価総額が小さい銘柄(例:500億円以下)は、不利な比率で吸収合併されるリスクが存在します。まずは有名銘柄を少額から投資するのがベターだと考えられます。
個人的に注目している投資対象
「楽待チャンネル」では、東京都内の賃料が急上昇している現状について言及されており、供給不足が背景にあると考えられます。
【1Kで13万円も】東京23区の家賃が過去最高、賃料値上げしたオーナーも苦悩…今後も上昇は続く? #楽待NEWS
*youtube 楽待チャンネルより
1LDK〜2LDKといった若年層やカップル向けの物件の賃料は、前年比で10〜15%上昇しています。特に港区・目黒区・渋谷区などでは、月額20〜30万円台が相場となっており、共働きで手取り40万円前後のカップルにとっても住居費の負担が大きくなっています。
加えて、資材価格や人件費の高騰、人手不足などが重なり、新築物件の供給が限られているため、駅近・築浅物件は奪い合いの様相を呈しています。
さいごに
REITは現在、歴史的に見ても割安な水準にあり、投資妙味を感じさせます。一方で、金融ショック時には株式以上に価格が大きく下落するリスクがある点、国内金利が今後もしばらく上昇局面を維持しそうな点を踏まえると、現時点では様子を見つつ、時間分散を意識した慎重な投資姿勢が求められると考えています。
ここまでお読みいただき、誠にありがとうございました。
参考:日本経済新聞(2025年5月24日)、楽天証券
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