はじめに
今年3月、転職に伴い県外へ引っ越しをした際、自家用車の輸送に株式会社ゼロ(9028)のサービスを利用しました。その経験をきっかけに、同社の業績や株価を改めて調査したところ、近年は株主還元の強化も進んでおり、株価は上昇基調にあることが分かりました。
本稿では、同社に投資妙味があるかどうかを検討していきます。
事業内容
株式会社ゼロは、自動車完成車の輸送や総合的な物流ソリューションを提供している企業です。日産自動車の車両輸送に端を発しており、陸送業界ではトップクラスの規模を誇ります。
同社の事業ポートフォリオは以下の通りです
- 完成車物流事業:自動車メーカーから販売店までの車両輸送を一貫して提供。
- 一般貨物事業:部品輸送、引越し、3PL(サード・パーティ・ロジスティクス)など。
- 人材派遣・請負:自動車製造業向けの作業請負など。
- 海外展開:アジアを中心に輸送ネットワークの構築を進行中。
*2025年6月期第3四半期決算説明資料より
海外輸出される車両台数は年々増加していることから、今後も同社の追い風になると予想されます
*出典:JAPAN CARRIER
業績状況
売上収益は年々増加傾向にあります。
中でも2021年度(FY2021)は、コロナ禍における雇用調整助成金の受給などもあり、一時的に利益が大幅に増加しました。
*ゼロHPより
今後の見通し
同社は2026年度の数値目標として、以下を掲げています。
- 売上収益:1,500億円
- 営業利益:100億円
- ROE:14%
これらの目標達成に向けた施策としては、以下が挙げられています。
- 自動車輸送ニーズ対応:EV普及に対応した新たな物流インフラの構築
- コスト管理の徹底:燃料費や人件費への対応として、DXや省人化の推進
- 海外事業の拡大:アジア市場における輸送需要を取り込み、成長を図る
また、配当性向を上場企業の平均水準である33%(従来:25%)まで引き上げる方針を打ち出しており、株主価値の向上を目指しています。
これらの施策により、PBRは改善傾向にあり、当初目標として掲げていた「PBR=1.0」も既に達成済みです。
*IR Bankを基に作成
ファンダメンタル(2025年5月16日時点 楽天証券より)
- PER:約12.38倍
- PBR:1.36倍
- 配当利回り:2.02%
- 自己資本比率:52.6%
配当は年々増配傾向にあります。
なお、2021年度の増配は前述の通り、一過性の利益(雇用調整助成金)による影響です。
*2025年6月期第3四半期決算説明資料より
株主優待について
2025年時点では、株主優待制度は導入されていません。
株価推移と今後の注目点
※出典:Yahoo!ファイナンス
株価は2024年頃から明確な上昇トレンドを描いており、力強い推移が続いています。たとえば、2024年8月の「令和のブラックマンデー」や、直近の「トランプ関税ショック」など一時的な下落局面でも、すぐに反発している点が印象的です。
ただし、PBRが既に1倍を上回っており、割安感はやや薄れています。そのため、今からのエントリーには慎重さも求められます。一時的な調整局面で押し目買いを狙う戦略が有効と考えられます。
*ゼロHPより

ここまでお読みいただき、ありがとうございました。
コメント